ロジャー・ウイリアムズ博士の「生命の鎖」理論
博士はわれわれの健康、つまり生命の維持のためには五十種類ほどの栄養素が
バランスよく摂られていることが不可欠なことを明らかにし、これらの栄養素が
体の中で協力しあって生命活動を維持している様子を「生命の鎖」という表現で示した。
「生命の鎖」という表現は意味深く、しかもバランスのとれた栄養の大切さをよく
表現したものになっている。この鎖は図に描いてみれば、一つ一つの鎖の輪が
結びつきながら全体としては一つの首輪のような輪を形づくっていると考えてみると
博士の説く意味が理解しやすい。
この鎖全体の強さ、つまり生命力の強さは一つ一つの輪の強さ次第である。仮に五十の輪が一つ一つ繋がって全体の鎖をつくっているとする。この全体の輪は、四九の輪がどんなに強くても一つでも弱い輪があれば、その弱い輪のところで切れてしまう。全体の鎖の強さは、だから弱い輪のレベルで決まってしまう。つまり弱い輪が一つでもあれば、全体としての鎖はその弱い輪のレベル以上に
強くなることはできない。ビタミンCの輪が極端に弱くなれば、他の輪が強くても壊血病になるといったのもそういうことである。
そこでウイリアムズ博士はこう説く。 「生命の鎖の強さ、つまり健康のレベルは、体に不可欠な栄養素がどれもバランスよく
摂られていなければ高い水準には維持できない。他の栄養素がいくら十分に摂られていても、一つでも不足していたりすれば、全体の健康レベルはその不足したもののレベルにまで
低下してしまう。」
生命の鎖を構成する栄養素は9種類の必須アミノ酸、16種類のミネラル、20種類のビタミンなどだが、博士が明らかにしたのは、これらのどれにも絶対必要水準というものがあり、このうちのどの1つがその水準以下になっても生命の鎖の強さ、つまり健康水準は低下したり、病気になったりするということだった。
これらの栄養素のそれぞれは、“個人プレー”をしているのではなくて、ウイリアムズ博士の言うように全体の鎖の一つ一つの輪となることで“チーム・プレー”をしているのである。
アメリカ上院栄養問題特別委員会レポート
「いまの食生活では早死にする」より
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