アミノ酸の話
「主要なアミノ酸はおよそ20種類。それ以外にも天然には数10種類の
アミノ酸があるといわれています。
20種類の性質の異なったアミノ酸は結合してタンパク質を作ります。
タンパク質は、筋肉や臓器、血液など私たちの体の基本をつくる成分です。
また、私たちの体の中にある4千種ほどの酵素、各種ホルモン、神経伝達物質
などもすべてタンパク質でできています。私たちの生命を維持するために
なくてはならない栄養成分、それがタンパク質=アミノ酸なのです。
20種類のアミノ酸のうち、最低9種類の特定のアミノ酸があれば、
体のタンパク質の材料としては間に合います。というのも、そのほかの
アミノ酸は、その9種類のアミノ酸から作られるからです。
逆に言えば、9種類は体で合成できないので、食品からとる必要があるということ。
これを必須アミノ酸と呼びます。
乳幼児や子供の場合、合成できないものがさらに1種類多くなります。」
必須アミノ酸
・イソロイシン ・ロイシン ・リジン ・メチオニン
・フェニルアラニン ・スレオニン ・トリプトファン
・バリン ・ヒスチジン ・アルギニン(子供の場合)
☆
必須アミノ酸はどれかひとつが不足すると、他のアミノ酸もそのレベルまでしか
働きません。逆に、どれかひとつが過剰になると、相対的に他のアミノ酸が不足
することになり、これも望ましいことではありません。アミノ酸は、量的に十分で、
しかも各アミノ酸をバランスよく取ることが大切です。
9枚のアミノ酸の板で桶を作ったとします。
必要量100%で完全な桶になるとして、
その中の一枚の板(たとえばリジンの板)が短かったら、水は一番短い板の高さまで
しか入りません。
このように、他のアミノ酸がたくさんあっても、一番少ない量のアミノ酸に
あわせてしか、働けないのです。
9種類を十分にバランスよくとることがとても大切なのです。(図―1参照)
【各必須アミノ酸の特徴】
● イソロイシン
・成長を促進する
・神経の働きを補助する
・血管を拡張させる
・肝臓の機能を高める
● ロイシン
・必須アミノ酸の中で一日の必要量がもっとも多いアミノ酸
・肝臓の機能を高める
● リジン
・体のタンパク質の組み立てに欠かせない重要なアミノ酸
・体の組織を修復したり、成長に関与
・抗体、ホルモン、酵素を作る
・疲れをとって集中力を高める
・ヘルペスを解消する働き
・肝機能を高める
● メチオニン
・ヒスタミンの血中濃度を下げる働き
・抗うつ剤として即効性があり、分裂病の症状を改善するケースもある
・不足すると、尿を作る能力が衰えてむくみを生じやすくなる
● フェニルアラニン
・脳の神経細胞の間で信号を伝達する神経伝達物質になる
・フェニルアラニンから生成されるノルエピネフリンとドーパミンは刺激の伝達に
役立ち、精神を高揚させたり、鋭敏さとバイタリティーを生み出す作用がある
・天然のフェニルアラニンから合成された薬が、鎮痛剤として利用されている
● スレオニン
・成長を促進する
・肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝になるのを防ぐ
・不足すると、食欲不振、貧血、成長阻害、体重減少の症状が現れやすい
● トリプトファン
・タンパク質を合成する材料として使われる分を除いて、肝臓、腎臓で分解され、
エネルギー源として利用される
・摂取したトリプトファンは、脳に運ばれ、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシ
ウムとともにセレトニンをつくる
セレトニンは鎮痛、催眠、精神安定などの作用がある神経伝達物質です
● バリン
・成長に関与
・血液中の窒素バランスを調整
● ヒスチジン
・成長に関与
・神経機能の補助
・慢性関節炎の症状の緩和
・ストレスの軽減
・性的エネルギーを高める
● アルギニン
・子供に限って食べ物から摂らなければならない必須アミノ酸です
・成長ホルモンに関与し、体を活性化して、免疫力を強化する働き
病気にかかりにくく、傷の治りの早い体をつくる
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